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【敬老の日に考えたい】税理士が教える「認知症の相続対策」〜先送りはもうやめにしよう〜
ご高齢の方、またご高齢の親を持つ方、
相続対策はできていますか?
認知症になってしまうと、相続対策は難しくなります。
ぜひ一緒に考えてみましょう。
目次
1. 敬老の日にちなんで
2. 認知症がかかえる相続リスク
3. 蛭子能収さんも認知症に
4. 認知症発症後にできる相続税対策
5. 相続税対策のリミットは72歳〜75歳
1. 敬老の日にちなんで
毎年9月は、高齢者を敬う時期です。
9月18日(祝)は「敬老の日」として、
老人を敬愛し長寿を祝う日ですね。
それだけではありません。
9月15日もあります。
この日は「老人の日」として、
国民が老人福祉に
ついての関心や理解を深め、
高齢者が自身の生活向上に努めるよう
促すことを目的とした日です。
人口減少社会と言われる中で、
高齢者人口は過去最多を更新中です。
昨年9月の総務省統計局のデータによれば
総人口は82万人減少している一方、
65歳以上の高齢者人口は3,627万人と、
前年に比べ6万人増加し、
過去最多となりました。
総人口に占める割合も29.1%と過去最多となっています。
2. 認知症になると相続対策ができない?
私の税理士登録25年超の経験則の中で
最悪のパターンと言えるのは、
相続対策を先送りし続けた結果、
ご両親が「認知症」と診断された場合です。
認知症と診断された場合、
「意思無能力者」とみなされ、民法の規定上、
意思能力を欠く者が行った法律行為は無効とされるからです。
つまり、認知症と診断された後に行った
生前贈与・遺言書の作成・財産処分行為などは
無効になってしまうのです。
近年は相続対策のための不動産売買取引においても、
売主の高齢化が目立つようになりましたが、
判例(名古屋高判・H14年9月18日)では
確かな意思確認がなされても後日認知症であったという事案で、
不動産取引が無効になった事例があります。
その他、預金口座の引出し、口座の解約、口座からの振込、
生命保険などの契約なども無効な法律行為となります。
相続対策のために行われる養子縁組についても同様に、
認知症の場合は無効となります。
このように、親が認知症になれば
いざ相続対策を実行しようとしても
八方ふさがりとなるリスクが生じるのです。
3. 蛭子能収さんも認知症に
2020年7月のこと。
漫画家・タレントで73歳の蛭子能収(えびす・よしかず)さんが
テレビ東京系の健康バラエティ番組で、
アルツハイマー型とレビー小体型を併発している
認知症だと診断された様子が放送され、
反響を呼びました。
2014年に「軽度認知障害」と診断され、
症状は徐々に進行したそうです。
認知症を公表したのは、
大好きな奥様の負担を少しでも減らすためだとか。
奥様は2017年に異変に気付き、
「夜間頻尿」の付き添いでほとんど眠れない日々が続くなど
過酷で孤独な実態が明かされています。
4. 認知症発症後にできる相続税対策
親の認知症発症後でも、
「法定後見制度」を利用すれば
相続対策を行うことが可能です。
後見人は、意思無能力者の保護のために
法律行為や事実行為においてサポートを行う人です。
つまり、後見人は、
被後見人の「財産の管理」「身上監護」などを
行うのです。
ただこの場合、
家庭裁判所で手続きする必要があります。
手続きには手間を要しますので
注意が必要です。
また、成年後見制度の最大のデメリットは、
親族が選ばれるケースは20%程度に過ぎないことです。
実際のところ、
司法書士・弁護士・社会福祉士などの
親族以外の選任率が高くなっており
その結果、親族の思惑通りに事が進まないという
リスクも残ります。
その他にも費用が発生し、
後見人の選定には半年ほどの期間も要します。
5. 相続税対策のリミットは72歳〜75歳
このように考えると、
ベストなのはやはり両親が元気なうちに
相続対策を実行しておくことです。
しかし、私の税理士登録25年超の経験の中で
「相続なんて縁起の悪い話をするな!」と
親が機嫌を損ねるケースを数多くみてきました。
相続対策は遅々として進まず、
子の方は「親が相続の準備をしてくれないので、
相続が"争族"にならないか?」と
非常に心配しているというケースです。
厚生労働省によれば、
2019年の平均寿命と健康寿命は以下の通りです。
● 平均寿命 … 男性81.41歳・女性87.45歳
● 健康寿命 … 男性72.68歳・女性75.38歳
個人差は当然ありますが、
こうして見れば相続対策実行のタイムリミットは
男性なら72歳、女性なら75歳というように
解釈できます。
健康寿命を意識し、相続対策の先送りはもうやめましょう。
不動産売却など相続対策実行の際には
税理士及び不動産専門家に是非ご相談下さい。
超高齢化社会の到来と言われる中で、
「人生百年時代」と言われ
元気なお年寄りが本当に増えてきました。
私も今月54歳となり、
先日弊社オフィスでスタッフ皆から盛大に誕生日お祝いをして頂きましたが、
私自身の健康寿命は統計上あと18年です。
元気で健康に歳を重ねていきたいと思います。(笑)
まとめ
認知症になってしまうと、
生前贈与や遺言書の作成・財産処分行為などが
できなくなってしまいます。
「法定後見制度」を利用することで、
認知症発症後でも相続対策ができるようになります。
ただしデメリットもあるため
元気なうちに相続対策を実行するように
努めましょう。
当ブログを運営している三和都市開発は、 |
【当ブログ執筆者】
TFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト
社会保険労務士法人トップ労務マネージメント
税理士 中小企業診断士 代表兼CEO 岩佐 孝彦
TEL/06-4796-7771 mail/iwasa@tfp-j.com
公式サイト/www.tfp-j.com
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