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【年収の壁】財務省解体デモの考察
地方にも広がりを見せている「財務省解体デモ」。
発端はSNS上の財務省批判であるといわれています。
岩佐税理士から、この財務省解体デモについて
するどい考察を寄せていただきました。
ぜひご一読ください。
目次
1. 日本で起きたデモの歴史
2. 財務省解体デモの背景
3. 財務省、いったい何がしたいの?
4. なぜ所得控除は複雑化しているのか
1. 日本で起きたデモの歴史
先月21日、財務省前で行われたデモをきっかけに、
デモは全国各地に拡大しています。
日本におけるデモ活動は、歴史の中で様々な要求を実現してきました。
以下に5つの代表的な事例を紹介します。
1.米よこせ大会
1945年10月、大阪の鴻池新田で深刻な食糧危機に苦しむ主婦たちが米穀配給公団に押しかけ、
遅配・欠配分の米を要求するデモを行いました。
このデモは、食糧不足という切実な問題に対する人々の声を反映し、
政府の食糧政策に影響を与えました。
2.安保闘争
1960年の安保闘争は、日米安全保障条約の改定に対する大規模な抗議運動でした。
この運動が岸内閣の退陣につながり、日本の政治に大きな影響を与えました。
3.公害反対運動
1960年代から1970年代にかけて、全国各地で公害問題に対する反対運動が起こりました。
これらの運動は、水俣病やイタイイタイ病などの公害問題の解決を求め、
環境保護への意識を高める上で重要な役割を果たしました。
4.成田空港反対闘争
1960年代から現在に至るまで、成田空港の建設と運営に反対する運動が続いています。
この運動は、長期にわたる反対運動として知られ、空港の建設や運営に様々な影響を与えました。
5.沖縄の基地反対運動
沖縄では、米軍基地の存在に対する反対運動が長年にわたり続いています。
これらの運動は、基地の返還や縮小を求め、
沖縄の基地問題に対する関心を高める上で重要な役割を果たしています。
これらの事例は、デモが社会に変化をもたらす可能性を示しています。
今回の財務省解体のデモが今後どのように社会に変化をもたらすか、注視したいところです。
2. 財務省解体デモの背景
さて、今回のデモの背景について考察していきましょう。
今回の背景にあるのは、何と言っても『年収103万円の壁』に関する議論です。
ただここ最近の報道を見ると、何かグチャグチャになってきました。
与党は国民党に対し、「年収の上限を引き上げつつ、4段階に分けて基礎控除を上乗せ」とする案を先日提示しました。
昨年末に提示した「年収に関わらず、基礎控除10万円上乗せ」に追加して、
以下のように上乗せする案です。
▼ 年収200万円以下 … 37万円
▼ 年収475万円以下 … 30万円
▼ 年収665万円以下 … 10万円
▼ 年収850万円以下 … 5万円
税理士の私(岩佐)としては、こんなに複雑にして一体どうするのかとの疑問を感じました。
これにより減税の効果が増す人が給与所得者の8割以上に拡大しますが、
減収は6,200億円程度にとどまるとか。
国民民主の掲げる178万円では、減収7兆円程度と言われていたのに比べると、
あまりにも減税幅が小さくなる案です。
3. 財務省、いったい何がしたいの?
このような報道を見て、私(岩佐)が感じるのは以下の通りです。
● 国民の手取りを増やし、消費を増やせば、結果的に税収増へ。こうした経済成長シナリオなど、財務省は本気で考えていない。
● 財務省は自分たちの権益を何が何でも守りたいと思っている。
● 自分たちの権益とは、歳出権という予算を決められる権利であり、将来の自分たちの天下り先の確保につながる。
● 税収は昨年度過去最大なのに、減税幅は少しでも抑えたい。
●「税は国家なり」が本質論。しかし日本では、国会で広く議論されることなし。
● インナーと呼ばれる税制調査会の数名の幹部だけの密室で決められるという、歪な構造になっている。
...以上、あなたはどう感じますか??
4. なぜ所得控除は複雑化しているのか
日本の税制は【公平・中立・簡素】を租税3原則として掲げています。
これに則れば、以下のように考えられます。
● 基礎控除 … 憲法で定める生存権(全国民共通)
● 給与所得控除 … 担税力に基づく概念(年収に応じて設定)
これを分けて議論すべきです。つまり、以下の構造になっています。
『103万円=基礎控除48万円+給与所得控除55万円』
この2つを分けて考えれば、
昨年末に税制改正大綱に記載された「123万円」という数字を【基礎控除】とすれば、
次の通りになります。
『178万円=基礎控除123万円+給与所得控除55万円』
これは、国民民主党が掲げる政策通りになります。
しかし、この2つを一緒に議論することで、話が複雑化しているのです。
そもそも論として、基礎控除(生存権)と、給与所得控除(担税力)という異なる性格を有する所得控除を一緒にして、
まとめて議論しようとするから、おかしな方向に行っているのではと感じる次第です。
敢えて話を複雑にし、わかりにくくしているのは、財務省の策略なのでしょうか?
...ただここにきて、国民民主党も軟化の姿勢を見せています。
3月7日夜、国民民主党の玉木代表はこう語りました。
「所得制限を設けず、非課税枠(基礎控除+給与所得控除)を一律で150万円にするなら、賛成に十分値する」
さあ、年度末に向けて一気に収束するのか?
5. 森永卓郎氏が指摘する"ザイム真理教"
今回のデモの背景には、先日お亡くなりになられた、
森永卓郎氏(経済評論家)の影響もあると言われています。
同氏はご著書の中で、以下のように述べておられました。
……………………………………………………………
最近ネットの世界では、「ザイム真理教」という言葉が頻繁に使われる。
財務省は、宗教を通り越して、カルト教団化している。
財務省が40年間にわたり布教を続けてきた「財政均衡主義」という教義が、
国民やマスメディアや政治家に至るまで深く浸透しているからである。
……………………………………………………………
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【当ブログ執筆者】
TFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト
社会保険労務士法人トップ労務マネージメント
税理士 中小企業診断士 代表兼CEO 岩佐 孝彦
TEL/06-4796-7771 mail/iwasa@tfp-j.com
公式サイト/www.tfp-j.com
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