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【不動産遺贈】 定額減税と同じくタイミングが命

【不動産遺贈】 定額減税と同じくタイミングが命

恩着せがましい定期減税。
また選挙対策かー

そんな声が聞こえています。

不動産の遺贈でも、
タイミング次第で要らぬ紛争が起きてしまうことを
税理士の岩佐先生が教えてくださいます。


 


目次
1.  タイミングの悪い定期減税
2.  不動産の遺贈もタイミング次第
3.  遺言書の存在は生前に知らせて


 

1. タイミングの悪い定期減税

減税アピールは選挙対策

岸田政権 "肝入り"の定額減税が今月より始まりました。

物価高対策として、1人4万円(所得税3万円+住民税1万円)の減税が行われます。
私が主宰する税理士法人でも顧問先様から多数のお問合せを頂いています。

労働者の大半は手取額が増えるので嬉しいでしょう。
しかし、今回の定額減税で多大なる迷惑を被っている人もいます。


1人目は経理担当者。

今年限りの措置にも関わらず、給与計算ソフトをアップデートさせねばならず
事務負担が増大しています。

経理担当者の皆様のご苦労を御察し申し上げます。


2人目は経営者。

経営の現場に目を向けると、「たかだか4万円の減税で現場が大変じゃないか」といった声が多発しています。

しかし、経営者層と比べると、労働者である一般大衆層の数が圧倒的に多いです。
よって、選挙対策として一般大衆層に迎合する減税になるのはやむを得ないかもしれません。

実は、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏はTVニュース番組で以下のようにコメントしました。

「定額減税は昨年の12月にやるべきでしたね。
昨年10月に検討をしていたので、補正予算を作って12月にやるのが普通です。
翌年に回したのは、選挙対策って言われちゃいますよね。」

今回の定額減税においては、企業に対して給与明細に所得税の減税額を明記するように義務付けています。
そのため、SNS上では「減税アピール」「恩着せメガネ」といった批判の声が挙がっています。


 

2. 不動産の遺贈もタイミング次第

遺言が10年後に見つかってしまう悲劇もある

定額減税は歴史的な愚策と言えるかもしれません。

高橋洋一氏のコメントにあるように、
もし昨年12月に実施していたら世論も違っていたかもしれません。

タイミングが命なのは定額減税の実施時期だけではありません。
不動産の"遺贈"でも同じことが言えます。


3月に、たいへん興味深い最高裁判決が出ました。
さあ、あなたに質問です。

法定相続人のA氏が不動産を相続して10年以上経った後に、
他にも相続人のB氏とC氏がいるとする。
遺言が見つかった場合、A氏か、B氏とC氏のどちらが不動産を所有できるのか?


…答えは、A氏です。
最高裁判決では、法定相続人のA氏による相続財産の取得は妨げられないとする判断を示したのです。


A氏の主張

原告のA氏は2004年、
養子縁組をした叔母の不動産を唯一の法定相続人として相続し、登記しました。

しかし、10年以上過ぎた2018年に遺言の存在が判明しました。

裁判官が立ち会って開封する「検認」が行われたところ、
A氏やA氏のいとこのB氏とC氏を含む3人に「遺産を等分する」と書かれていました。

A氏はすでに時効取得が成立しており、
B氏やC氏に遺産の返還を求める権利は無いとして、2019年に提訴しました。


B氏の主張

しかし裁判でB氏やC氏が主張したのは、民法が規定する「相続回復請求権」でした。

これは、相続人でない人に相続権を侵害された場合、
侵害を知ってから5年以内なら財産を取り戻すことができるとする権利です。

B氏やC氏は、侵害の事実を知ったのは「検認を経て、遺言の内容を把握した時点」だとして、
まだ5年が経過していないと強調しました。

家督相続に関する訴訟を巡り、
「相続回復請求権を行使できる状態では時効取得は成立しない」とした1932年の最高裁の判例などを根拠に
A氏に対して不動産を返すように求めました。


判決

法廷では、回復請求権に5年間などの期限が設けられた目的は
「相続権の帰属や法律関係を早期、終局的に確定させることにある」とし、
行使できなくなるまで時効取得を認めないのは「趣旨に整合しない」としました。

かくして、相続回復請求権が残っている状態でも時効取得は成立すると結論付け、
A氏の請求を認めました。

つまり、1932年の最高裁の判例については家督相続制度を前提とするもので、
今回の判決には抵触しないとしたのです。

1932年と現代では時代が違うということです。

 


 

 

3. 遺言書の存在は生前に知らせて

タイミング次第で揉め事に

遺言書の内容はもちろん生前に知らせる義務はありません。

ただ遺言書が存在するという事実だけは、生前に家族に知らせておくべきでしょう。

後から遺言書が見つかって、自身に相続権があることを知れば、
相続回復請求権の問題が生じるので注意が必要です。

不動産の遺贈も定額減税もタイミングを外してしまえば、効果は激減してしまいます。
何事も必要なタイミングで行動しなければならない。

このことを再認識して下さい。


当ブログを運営している三和都市開発は、
税理士とのパートナーシップを持っています。
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お気軽にご相談ください。
 


 

【当ブログ執筆者】

TFPグループ
税理士法人トップ財務プロジェクト
社会保険労務士法人トップ労務マネージメント
税理士 中小企業診断士 代表兼CEO  岩佐 孝彦
TEL/06-4796-7771    mail/iwasa@tfp-j.com
公式サイト/www.tfp-j.com

 

 

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