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"定期借地権付き建物"を相続してしまったら 〜解約・売却〜
「定期借地権付きの建物を相続したが、どうしたらいいでしょうか」
弊社には、そういったご相談が寄せられることがあります。
具体的には「定期借地権は解約できるのか」「定期借地権付きの建物は売却できるのか」という内容が多いです。
今回は、そんな「定期借地権」についてわかりやすく解説します。
目次
1. 定期借地権とは
2. 定期借地権は途中で解約できないの?
3. 定期借地権付きの建物は売却できないの?
4. 相続放棄すれば、定期借地権付き建物の責任から逃れられる?
5. 定期借地権付き建物の処分、売却は三和都市開発へ
1. 定期借地権とは
そもそも「借地権」とは
借地権とは、「建物を建てる目的で土地を貸し借りするときに使われる権利」のことで、
借地借家法において設定されています。
借地借家法では、主に「土地の貸し借りの期間や、貸し借りする権利の範囲、契約の更新など」について
定められています。
借地権によって、借主は貸主(地主)に対して地代を支払います。
借主が亡くなった際、借地権は特に地主とのやりとりがなくても相続人に継承されます。
また、借地権の設定されている土地の所有権のことを「底地」といいます。
底地について詳しくはこちらをご覧ください▶︎「面倒な底地」税金や売り方、まるっと解説!
定期借地権とは
「借地権」はもともと借主を保護する側面が強いものでしたが、
1992年に施行された新借地借家法によって、それまでの借主有利な「普通借地権」のほかに
貸主(地主)に有利な「定期借地権」が新設されました。
[普通借地権]
契約期間が切れても、借地人が望む限り借地契約が自動的に更新される
これを原則とした借地権が「普通借地権」です。
普通借地権の場合、建物買取請求権といって、借地契約が更新せず終了したときに
地主に建物を買い取ってもらえるという権利も付帯しています。
[定期借地権]
定められた期間だけ存在する借地権
存続期間が過ぎると、借主は必ず土地を返却しなければいけません。
建物買取請求権は、契約時に特約によって拒否されるため、
土地の返却の際は借主が建物を解体して更地にする必要があります。
定期借地権には、「一般定期借地権」「建物譲渡特約付き借地権」「事業用借地権」の3種類があります。
1992年に制定され、現在約30年が経過していますので、
契約満了の定期借地はこれから出てくると言われています。
2. 定期借地権は途中で解約できないの?
現行法では解約についての記載なし
定期借地権制度が導入された当初は、
存続期間満了時にいかにしてスムーズに契約終了し、明け渡しができるかに焦点が当てられていました。
当然のことながらずっと借り続けるだろうと信じていたため
中途解約に関する記述がされていません。
そのため、現在のところは期間満了までは解約ができず
地代を払い続けるしかありません。
たとえば残存期間があと20年だとしましょう。
地代が毎月5万円なら、20年×12ヶ月×5万円=1,200万円必要です。
さらに解体費用で200万円かかるとしたら、合わせて1,400万円を用意することになります。
「違約金」での合意
簡単には途中解約は認められませんが、違約金で合意を得るという手段はあります。
地主側としては「残りの期間分の地代分は払ってください」と出たいところですし、
相続で得た"負の財産"に困っている側としては「そこを何とか」と頼むしかありません。
こういった、地主との交渉や話し合いの難しさこそが
定期借地権付き建物を相続することの大きな問題点といえるでしょう。
3. 定期借地権付きの建物は売却できないの?
借地権の残存期間が短いほど難しい
定期借地権付きの建物を売却することは可能ですが、
ひとすじ縄ではいきません。
定期借地権付きの建物の場合、借地権の残存期間が短いほど売却が難しくなります。
たとえばあと20年で期間が終わってしまうなら、
「20年間だけ住めたら良い」という人を探さなければなりません。
また、定期借地権付きの建物は住宅ローンの借り入れが困難になるため、
住宅ローンを組まずに買える人でなくてはならず
さらに売却のハードルは上がってしまいます。
それに加えて、次の借主に対する地主側での審査も必要となってきます。
しかも地主側は、定期借地権の「譲渡承諾料」を元々の借主へ請求することができます。
譲渡承諾料は地主との交渉で決定しますが、
借地権価格の10%に、残存期間の割合をかけて計算されることが多いです。
以上のように、定期借地権付きの建物の売却はとても難しいため、
どうしても売ってしまいたい場合は、低価格での思い切った処分となってしまうでしょう。
4. 相続放棄すれば、定期借地権付き建物の責任から逃れられる?
建物の管理責任が残る場合がある
相続を放棄することで、地代の支払いや、
固定資産税の支払いは回避することができます。
しかしながら、建物の管理責任は残されている場合があります。
民法940条によって「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは」
管理責任・保存義務を負うことになると定められています。
つまり、相続放棄時にその家に住んでいた場合は、
相続を放棄して家も出ていくとしても
その建物に対する管理や保存の義務が残っているのです。
この義務を果たすには、家庭裁判所に申し立て、相続財産精算人を選任しなければなりません。
この選任申立てには20〜100万円程度の予納金が必要となります。
こうした手続きを経て、相続放棄した家を国庫に帰属させてはじめて
管理責任・保存義務からも解放されることになります。
5. 定期借地権付き建物の処分、売却は三和都市開発へ
早急にご相談を
これまで述べてきたように、
定期借地権付き建物を相続してしまった場合は、
さまざまな問題点の把握と対策をとらなければなりません。
特に、借主と地主との関係性はとても大事で、
こじれてしまってからでは後がありません。
できれば生前、相続の前からの対策が望ましいですし、
相続後でもできるだけ早く専門家へ相談しましょう。
定期借地権の交渉、また、建物の売却をしたい、
なんとか手放したいなどの悩みをお持ちの方は
不動産買取のプロである三和都市開発へぜひご相談ください。
ご相談者によりそった提案とサポートを
ご提供することができます。
当ブログを運営している三和都市開発は大阪で30余年のキャリアがあります。 定期借地権の問題は経験豊富な当社へぜひご相談ください。 お電話でも、メールからでもご相談可能です。 |
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